JUGEMテーマ:相続

奥さんが介護した場合、寄与分として評価されるのでしょうか?

これは、本当に、よくあるご相談です。


相続で、財産の増加・維持にプラスの行いをした場合、寄与分として遺産の取得分がプラスになります。



これを寄与分といいます。



介護の例で言いますと、お父様が亡くなりました。亡くなる前に、お父様の長男が介護を一生懸命行いました。
そのため、本当は、プロの介護を行う人にお願いすれば、遺産からその費用が出て行ったはずなんですが、長男が自分で介護を頑張ったため、その費用がかからなくてすみました。

この場合、長男は、遺産の維持にプラスの行いをしたので、その分、たくさん遺産をもらうことが出来るということになります。


この寄与分ですが、相続人が寄与しなくてはいけないのか、という問題があります。


長男は相続人、つまり、相続として財産を受ける人です。長男自身が介護をするなら問題ありません。
問題は、長男自身ではなく、長男の奥様が介護を行った場合、寄与分として評価されるのか、という問題です。



奥様は、相続人ではありません(非相続人)ので、その介護により、遺産の維持にプラスの行いをしたといえるとして、それが、寄与分として、ご主人である長男の方が、多く遺産を取得できるのか、という問題です。




先日、林家三平師匠と一緒に、愛知県弁護士会が、名古屋の電気会館ホールにて、
〜三平と相続の話でどうもすいません〜
というイベントを行いました。

そのイベントで、まさに、この問題を取り上げさせていただきました。

実は、この問題は、私が作成したもので、司会をやりながら、ついつい、熱が入ってしまいました。



具体的な問題は、次の通りです。


<問題=妻の寄与分の評価>


自分ではなく妻が介護を24か月にわたって看病して、父が亡くなる直前の6か月は父につききりで看病した。

そのため。妻は、慢性的な睡眠不足となり、死後、看病疲れから自律神経失調症を患った。

弟は何も介護をしていない。


相続の時、弟から、妻の介護は相続人ではないものによる介護だから寄与分として評価できないといわれた。


妻が介護をしたという点が、夫の寄与分として評価できるか。



まずは、会場のみなさんにも意見を聞きましたが、奥様の介護は寄与分として評価できない、という意見が多かったです。


この問題点は、インターネット上でも取り上げられていますが、弁護士が書いたものは少なく、司法書士の先生や税理士の先生方が記載されたものが多い印象です。

いずれも、相続人本人による介護ではないので、寄与分として評価できないという記載がほとんどです。


でも、介護の場面では、結構、この問題は多いのではないでしょうか。
テレビドラマでもよくある場面だと思います。



確かに、奥様は相続人ではありません。ただ、奥様は夫の妻として、夫の父を介護しているのであり、夫本人ではないとして、寄与分として、全て評価されないというのは、形式的すぎると思います。



実は、妻など相続人の補助者として介護を行った場合には、相続人の寄与分として評価した判例があるのです。


相続人の妻Aは、被相続人甲の介護を2年4ヶ月にわたって看病し、死亡直前の6ヶ月は甲に付ききりでした。そのためAは慢性的な睡眠不足となり、甲の死後看病疲れから自律神経失調症を患ったほどでした。

裁判所は

「右
看護は、申立人の妻として、申立人と協力しあい、申立人の補助者または代行者としてなされたものであるから、本件遺産の分割にあたっては、申立人の寄与分として考慮すべきである。」

と寄与分として評価しました。

結局、寄与分を死亡直前
の6ヶ月を月9万円程度、その余の22ヶ月を月3万円程度が通常の扶助を超える部分であるとして120万円と評価したのです


相続開始時の遺産総額は8518000
)。

神戸家豊岡支審平成4年12月28日家月46巻7号57




非相続人による寄与は、寄与分として評価できないことが原則です。

しかし、妻など相続人の補助者として介護を行った場合には、相続人の寄与分として評価した判例があります。


奥様が介護を行った場合でも、寄与分として主張することを検討すべきだと思います。



ご参考に。










〜お知らせ〜

さて、このたび、全国に先駆けて、愛知県弁護士会において、相続専門相談を実施することになりました。

詳しくは、
こちら(愛知県弁護士会 相続専門相談)(←是非クリックしてみてください)
是非、ご相談ください。

なお、文責は、
管理人 (←クリックしてください)です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
JUGEMテーマ:相続

遺言の相談を受けるときに、「この遺言書、有効でしょうか?」というのがよくあります。

広告の裏に、単に「財産は和夫にやる。義男」とだけ書いたものとか、いろいろあります。

広告の裏だからだめということはないのですが、自筆証書遺言として有効になるためには、ちゃんとルールがあります。

例えば、、、

******************
遺言書
私の遺産は全て山田和夫(昭和48年1月1日生まれ。住所〜)に相続させる。
平成28年3月23日 
 住所〜
  山田義男 印
******************


こんな感じで、全文自筆で、修正もない形で、印鑑もちゃんと押していただき、日付もきちんと記載していただくといった、ルールがあります。



で、今日のテーマは、「手帳の一部に記載された遺言は有効?」です。



手帳や日記の途中で、突然、遺言が出てくるという場合、遺言としては有効なのか、という話です。



これは、結局、文章を全体からみて遺言の記載が、遺言書の実体を有するかどうかだと考えられます。


例えば、遺言書の前後に、日記の記載があり、「こういう遺言を残そうか悩んでいる。」などという言葉があっての、遺言書の記載であれば、遺言の記載単体で、遺言書の実体を有すると認めることはできないと思います。


これに対して、日記や手帳の最終ページに独立して、遺言の記載がなされていれば、全体をみても、遺言書の実体を有すると言えると思います。




先日、林家三平師匠と一緒に、愛知県弁護士会が、名古屋の電気会館ホールにて、
〜三平と相続の話でどうもすいません〜
というイベントを行いました。


そのイベントで、この問題を取り上げさせていただきました。



会場のみなさんにも意見を聞きましたが、手帳の一部に書いた遺言でも、有効である、という意見が多かったです。



でも、その書き振りでは、無効になってしまう恐れがありますので、注意が必要です。



特に、最近はやりのエンディングノート。



必要なところが印刷されていて、空欄部分を埋めていくと、整理されていきます。

これは、とても便利なものですが、エンディングノート自体が遺言書にはなりません。


全文、自筆で書くことが必要です。


また、エンディングノートの余白部分に遺言を記載すること自体、危険です。

エンディングノート自体、相続に関する書類ですので、遺言書をその中に書いてしまうと、どこまでが遺言なのかが不明確になってしまい、危ないです。



もちろん、エンディングノートにも、ちゃんとそのことは明記されていて、これとは別に、遺言書は作成しないといけません。と書いてあります。


それでも、エンディングノートのメモページ部分等に遺言書を、つい書いてしまったという方もいらっしゃるでしょう。

やはり、エンディングノートとは別に、遺言書を作成しないといけないと思います。


注意してくださいね。








〜お知らせ〜

さて、このたび、全国に先駆けて、愛知県弁護士会において、相続専門相談を実施することになりました。

詳しくは、
こちら(愛知県弁護士会 相続専門相談)(←是非クリックしてみてください)
是非、ご相談ください。

なお、文責は、
管理人 (←クリックしてください)です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
JUGEMテーマ:相続

拇印での遺言は有効でしょうか?


よく、遺言を見ると、印鑑ではなく、拇印(ぼいん)で押してあるのをみかけます。
拇印の方が、指紋は人によって違うし、個人の特定としてはいいように思いますよね。

ただ、それは、捺印された方が、生きていらっしゃるときの話。

生きていらっしゃる方が、「これ、俺が書いたものではない!」といわれたときに、指紋をとって、整合性を検証することが出来るので、拇印で捺印されたものの信用性が高いのです。


でも、捺印された方が亡くなった場合は、どうでしょうか。


あとから、「この遺言書は、亡くなったお父さんが書いたものではない!」といわれたときに、指紋をとって、整合性を検証しようと思っても、お父さんは、すでに天国へ。

更に、追い打ちをかけるように、「遺言は、民法上”押印”が必要とされているので、拇印では、この”押印”とはいえないので、遺言としても無効だ!」なんていわれたら、どうしましょうか。



先日、林家三平師匠と一緒に、愛知県弁護士会が、名古屋の電気会館ホールにて、
〜三平と相続の話でどうもすいません〜
というイベントを行いました。

とっても、たくさんの方にお越しいただき、ありがとうございました。

私も、司会役で、三平師匠になんども突っ込みやフリを入れさせていただきましたが、すべて、上手に答えていただき、さすが、本物の落語家は違うと、感激しました。

そのイベントで、まさに、この問題を取り上げさせていただきました。



会場のみなさんにも意見を聞きましたが、やはり、拇印では遺言は無効である、という意見が多かったです。



さて、実際は、裁判ではどうなっているのでしょうか?

最高裁判所の判決があります。


平成元年2月16日最高裁判決で、拇印やその他の指での指印を「押印」として認められるとされたのです。
判決文を見てみましょう。


「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が遺言の全文、日附及び氏名を自書した上、押印することを要するが(民法968条1項)、右にいう押印としては、遺言者が印章に代えて拇指その他の指頭に墨、朱肉等をつけて押捺すること(以下「指印」という。)をもって足りるものと解するのが相当である。」(平成元年2月16日最高裁判決)


なるほど、拇印でも、遺言は有効ということなのですね。


ただ、こういう重要な問題が、わずか20数年前までは、はっきりとしてこなかったということがいえます。

また、ようやく拇印でも有効といわれただけでして、やはり、冒頭で申し上げた通り、拇印で捺印した場合、本当に、本人が押したのか、本人はすでに亡くなっているので、その検証が出来ません。


そこで、遺言の場合は工夫が必要ということになります。


証拠づくりです。


これをしっかりとやるかどうかで、もめる相続(争族)になるのか、もめない相続になるのかがわかれるのですが、もめて苦しんだ経験のある弁護士しか、この点のアドバイスは難しいのでしょうね。



いろいろな工夫があり、詳しくは、末尾の相続専門相談の弁護士などに相談いただければと思いますが、一番簡単な方法は、動画の自撮(どうがのじどり)です。

はずかしいかもしれませんが、今は、携帯電話でも結構、いい動画がとれます。ちっちゃな三脚も安い値段で2000円もしない価格で売ってます。


遺言を書きながら、しゃべりながら、メッセージを残しながら、拇印をおすところ、押した後の遺言書や捺印部分もカメラに近づけて、撮影してみてください。

大事なのが、残された方へのメッセージです。愛情をこめて、自分の言葉で伝えてください。


ちゃんと、残した動画は、DVDに焼くとかしていただければと思いますが、それも難しい人は、今の携帯電話はいつ動画を撮影したのかも残っています。


この携帯に動画が残っているということを、遺言書や、同封の手紙に書いておいていただければ十分です。


ただし、携帯電話、今日の日付や時間を合わせてから動画を撮影してくださいね。
普通にしてあれば、大丈夫です。


これをちゃんとしていないと、あとから「ボケたときにつくった遺言書だ!」だなんて失礼なことをいわれてしまうんですよ。


びっくりですよね。今、元気なのに。でも、今日、ピンピンしているというのを今日証明するのは簡単なのですが、それを5年後10年後に証明するのは、実は難しいんですよ。ホント。


動画があれば、証明は、一発です!


これは、拇印の場合だけでなく、普通の印鑑の場合でも同じです。実印で押していただくのが一番ですが、こう
いわれてしまう点は、拇印だろうが、実印だろうが、リスクはかわりません。
ビデオが大事なんです。

是非、ご参考に!






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さて、このたび、全国に先駆けて、愛知県弁護士会において、相続専門相談を実施することになりました。

詳しくは、
こちら(愛知県弁護士会 相続専門相談)(←是非クリックしてみてください)
是非、ご相談ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。